海に焦がれる碧い書斎

感想、考えたことの記録

先生、現場に行きたいです。

私にとって現場に行くこと、つまりライブやイベントを見にいくのは「生きる実感をするのに欠かせない存在」なのだ。

 

と、いつも思うのだが、

今年は特に強く感じている。

 

 

記憶する限り、今年2月あたりからライブ会場公演の一切がなくなった。読めぬ情勢は止まらずおさまる気配もなく、夏期に予定していたものも中止の告知と変わったのを何度見ただろうか。LINEの通知を確認したらチケット返済の手続きの話だった、というのも何度あったか。

 

 

これを書いている10月の時点ではどうなっているかというと、私が見る限り

・配信をメインとして発信

・本来会場公演を予定してたであろうものを配信

・配信と新ルールにあわせた会場公演両方

・新ルールに合わせた会場公演

 

と、団体や主催元によってかなりばらつきが出ているようだ。

 

さて、じゃあこの"新ルール"になってから現場大好きオタクの端くれが何に困っているかといえばたったひとつ

 

 

先々の予定が全く決まらない

 

 

いろんな表現が思いついたが大体これに行きつく。

基本的にライブイベントというのは行われる当日のずっと前から様々な準備がなされている。演目のテーマや日程は何か、会場をおさえる、出演者や関係者のスケジュール調整、本番に向けた練習、宣伝、製作など。オタクの想像や憶測ではこれが限度だが他にももっとあるだろう。

そのため「この日にイベントやります!」告知も当日の数ヶ月以上前ということは珍しくない。

ここで、「よし、この日に楽しみな日ができたからそれに向けて自分(ファン・オタク)も準備しよう」となる。

 

何に備えるかといえば

当日はその演目のためだけの予定確保

当日までに体調を崩さないようにする健康維持

他の予定との調整

グッズを買うなら、その資金の確保

交通ルートや宿泊・移動の調査

誰かと行くなら、その人との約束や連絡

 

とまぁとにかくやることがあるのだ。

つまりその1つのイベントのためにさらなる細

かいタスクがうまれてきて結構忙しくなるのだ。こういう忙しさは大変なこともあるが楽しみなことなのでとーってもイキイキする。

 

 

今はこれらがほぼ皆無なのである。

楽しい方の忙しさが、先々の大きな予定がないとどうなるか。

 

 

全然やる気が起きない。

 

 

今とても大変だけど、来月ライブがあるから頑張れる!

ライブグッズ買うために節約だ!

ライブまでにやるラジオにたくさんお便り書こう!

 

こういうのがぜーんぶなくなる。

書いてて自分でもゾッとしてます。

 

 

「過去公演のものなら、映像収録されるものでしょう?」

意外に思われそうだけどライブイベントの全てが映像としてオタクやファンの手に残るとは限らない。

たとえキャパが5桁クラスの大きな箱でも全ての演目がまるっと収録されるわけではない。

会場に来た人しか知らない、いや特定の席にいたファンしか知らないような景色も収録されない。大袈裟でもなんでもなく、有志で記録するか語り継ぐかでもしないと忘れ去られることはごまんとある。たとえ起きたことがどれだけ貴重で眩くてもです。

 

 

「配信があるじゃないか」

という話もありそうだけど

会場で見るのと配信で見るのとでは全く楽しみ方が違います。

異なるところは多々あるけど1番痛手だと思うのは「他のファン・オタクの動きが全然わからない」こと。

その公演に初めて来た時参考になるのは先にファン・オタクとなっている人たち。振る舞うべき所作や演者へのエールの送り方などあらゆる部分を私は必ず確認する。それによりその公演がやろうとすることや出来上がる空気が読み取れ、自分も素早くその一体感の一つとなれるのだ。声援が揃った時は本当に心地がいい。

 

配信ではその先輩方が言葉でしか確認できない。しかもその言葉は単純なものなのか、あらゆる意味を含めてるものなのか、すぐにはわからない。結果このパフォーマンス時ファンやオタクはこう動くと楽しい、が読めず舞台に立つ人が作ろうとする世界観がなんなのかを読み取るのが困難となる。

 

 

 

「今回ダメになっても、また次があるよ」

これが色々と1番厳しい。

どの演目も、出演者・関係者の様々な予定を踏まえて決められたものだ。その時期がパーのなったら、次にまた同じ陣営を揃えられるのか。

人によって立場は異なる。とにかく仕事が欲しい人、家庭の都合により動ける範囲が限られている人、先々の予定がびっしりな人、移籍等により立場を変える予定の人……芸事となればなおさら、一年経てばステータスがガラッと変わるのは珍しくない。

なので、しばらく経ってまた同じ内容の同じ出演者・制作者でやろうとするのはかなり大変。特に決まった作品ありきのもとでやる場合は放送順や宣伝、世界観など様々なタイミングを図っているので例えばある演目がポシャって数ヶ月先にまた同じことをするというのは考えにくい。

結果、次があるかという保証は全くなく、期待せず淡く願うことしかできない。

 

 

以上により、現場がどれだけ大きなエネルギーを使い、うんでいるものなのかが少しでも伝われば幸いだ。

 

 

 

とまぁ、現場オタクの多くにとってはかなり精神的に厳しい年だと思うわけだけど、私はそれでもやはり生きていこうと思うわけです。

なぜなら、この情勢を踏まえてこれからもっと素敵なパフォーマンスが見られるかもしれない、というのがあるからです。エンタメは、しんどい気持ちを「もうちょっと頑張って生きよう」というふうにさせてくれる素晴らしい存在です。私はエンタメに何度も助けられました。

今色んな人が「これからどんなことができるか」と模索しています。その姿にはただただ尊敬です。そしていつかまた、あの時のように現場で騒げる日が必ず来ると信じています。

その日のために、私はまずライブ終演まで持てる体力をつけようと思います。よし、もうちょっとがんばろう。