海に焦がれる碧い書斎

感想、考えたことの記録

機界戦隊ゼンカイジャーが築いた新たな「世界」はニュースタンダードになるのカイ?!

色々とイレギュラーなことを描きまくった「機界戦隊ゼンカイジャー」も、ついに最終カイを迎えました。

 

 

始まって数話の時点で

「これはヤベェことしてるな!?」と驚いたのですが、終わってみて改めてまた驚きがうまれたのでその記録をしていこうと思います。

 

 

 

 

変身後だけでなく、変身後もスーアク

 

5人戦士の場合、通常は新人役者5人が「変身前」を務めて、スーツアクターと言われるアクションに強みのある役者陣が「変身後」を務めますがゼンカイジャーはその通常例が追加戦士のゾックスを踏まえても2人のみ。4人はアクターと声優陣が命を吹き込むというユニークな取り組みとなりました。変身前も後もスーアクといえばキュウレンジャーを思い出しますね。

アクションだけでなく、日常のさりげない動きをよりリアルに、ユニークにする二人三脚はまさしくプロ。全く飽きることなく楽しく視聴できました。

 

 

記念作ながら、オリジナルキャストは一切呼ばない演出

 

記念作といえばレンジャーキーを使いこなすゴーカイジャー、時が軸となる仮面ライダージオウが直近ですがこの2作と違うのは過去作品のオリジナルキャストをその役で起用しないないこと。

先輩戦隊の力を使う時も、あくまで「その戦隊・メンバーをイメージした力」を使うだけで、オリジナルキャストに会う必要性や機会が全くないのです。結果として、使う戦隊ギアによって「戦闘に役立つ攻撃力アップ系から、最終回を再現する謎演出」まで多彩になることで、ギアを使うとどうなるんだろう?とワクワクする気持ちにさせますし「この戦隊はどんな戦隊だったのだろう」と興味が湧きます。

当然ながらそこには過去の作品や戦隊への敬愛もあり、例えば複数のギアを使ったときは「あーそういう共通点かなるほどね!」と作品を知る視聴者も考察できたりします。戦隊ギアすごいな。

 

 

脚本ほぼ固定。徹底した世界線

 

基本的に長い物語では構成(メインとなる脚本家)がいて、そこに何人かのサブ作家がいるのですがゼンカイジャーではほぼ全ての回を香村さんが執筆したことで「物語としてのリズムが保たれ、表現にムラがない絶妙なバランス」が実現しました。終始ネジがぶっ飛んだような演出がありましたがそこにはさりげなく散りばめられた言葉や目線、動きがあり、それを演者が見事に表現していたのです。

 

もちろん、サブライターたちの力も凄まじく「お話によってこんな見方ができる!」という新たな発見ができる一方で、ヲタクの目も肥えているため「描こうとしてる世界や設定と何か違うもしくは何か足りない(意外とこのケースはある)」こともあって、このあたりはどうしても個人個人の解釈に委ねられるところなのです。今回はその感覚がほぼゼロで1年間楽しめるという非常に貴重な機会を堪能できたと思います。

 

 

超本気でバカをやる。製作陣による技術の結晶

 

これまでの戦隊作品シリーズを見てきた方程よくわかると思いますが、ゼンカイジャーはこれまでの作品を踏まえて様々な表現に挑戦してきました。CGでの演出。モーションキャプチャーを使ってのアクション。無機物に声という命を吹き込む芝居。悪役と正義、それぞれの意味。それは進化したというだけでなく「様々な制限」があるなかでの表現なのです。

私自身、30年ほど前の特撮作品をいくつか見ているのですがその時点でも

  • ロケ地の制限
  • 一部表現の制限
  • 爆発物を使用する場所の制限
  • 機械・乗り物使用の制限
  • コロナ禍による全体的な制限

など、時代もしくはやむを得ない事情で縛られてるものは確実にあると見えるのです。それでもこれまでずっと新しいことに果敢に取り組む戦隊シリーズには驚きと尊敬が尽きないのです。ゼンカイジャーはその工夫を全力全開でやってのけた怪作(褒めてます)としか言いようがないです。

 

その上で、数々のパロディや訳の分からないカオス演出してたのか恐ろしい。柏餅の回では他関連公式アカウントを巻き込みましたよね。テニスをひたすらやる回に至っては明らかに「テニスの●子様」を意識した表現に、当時のアニメを見ていた私は爆笑しつつ大丈夫これ?となってたんですよ。原作者が言及しつつも認めてくださった(?)ようでホッとしました。ありがとう許斐先生……

 

 

最終回、役者が見せた成長とは?

 

物語のクライマックスになると、戦士として演じるメンバーの表情は豊かになり、最終決戦あたりでは覚悟を決めた顔つきがサマになることも。

 

しかしゼンカイジャーでは最終回の時点でトジテンドのボス、ボッコワウスは倒しています。

どうするのかと思ったらまさかの介人の姿をした神様と介人の対決に。スーアク同士のアクションの中に、介人役の駒木根葵汰氏による一人二役(介人と神様憑依の介人)が声・そして姿としても混じります。神様の方はというと、表情も声も介人とは違う雰囲気を見事に纏っており圧巻の一言に尽きます。「成長をこう描くのか……」と膝を打ってました。

 

 

 

 

 

 

 

他にも色々考えられますが、とにかくいろんなことに全力全開な作品を視聴でき、Gロッソでのヒーローショーも堪能した身としては楽しく笑える素晴らしい時間を送れたと思っています。また、彼らに会える日を。