海に焦がれる碧い書斎

感想、考えたことの記録

勇気がもたらす哲学

ビジネス・哲学・自己啓発系では

ものすごく有名であろうあの本を

ようやっと読み終えました。

まー大変だった。

 

 

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

 

本作を通してアドラー心理学を知ることで、

自分の抱える悩み事・コンプレックス・生き方などなど、ありとあらゆる「抱えていているもの」への見方がかなりガラリと変わります。

 

いやー数ある教えの中で「嫌われる勇気」を選びタイトルにしたセンス、日本人向けでウマすぎる。あとこの「嫌 われる 勇気」と分けたデザインにしたのは何故か、どうして「嫌われる 勇気」で改行しなかったのかかなり気になりますね。どなたか知っている方がいらっしゃったら教えてください。

 

 

 

さて、物語を読み終えたあと見える景色が変わる現象(特に現代に近いもの)があったりしますが、この「嫌われる勇気」はそれと同様の作用をもたらします。

 

その理由としては

「全ての悩みは対人関係の悩みである」

という断言を機に、「エッ!?」となると発想が次々と流れ込み、結果これまで多くの人がやりがちなモノ・社会への見方や考え方を根底から覆すからです。

 

故にこの本は後半にも書かれる通り「本内容を理解したり自分の中に落とし込むのは時間がかかる」のです。冒頭に大変、と言ったのはそれが理由です。これまで当たり前にやってて慣れてたことをいきなり全く異なる方法でやるとなったら、最初はものすごく手間かかりますよね。たとえばいつも右手で字を書いていたのを左で書け、というくらいに。そういうことです。

始まりの方では大樹で言う枝葉すなわちアドラー心理学を端的に示すフレーズが出るため、登場人物の青年に負けないレベルで驚き反発します。しかし、読み進めるごとにその背景にある確固たる考えや思想、つまり根っこに触れるためちょっとした謎解きのような感覚にもなります。「なるほど、この見方であれば悩みへの向き方が健康的になるな!」と膝を打つような感じです。個人的には過去・トラウマへの見方に最も驚きました。

 

形式は、アドラー心理学を知る哲人と悩み多い青年の対話スタイル。青年が非常に自己を否定し、白黒思考で、ゼロ百思考であるため、難解な思想を知る大きなヒントが得やすいです。読みやすいです。今あげた3つの考え癖がなぜ危ういかがよく見えますからね。これがもししょっぱなから賛同してる弟子だったら、「いや知るかボケ!」と投げ出してたかも知れません。

 

とはいえ、これは一回読み終えてガッテンとわかるものではないので、読むのにかなりのエネルギーを使います。書かれていることのスケールもでかいし、悩みに対する見方になかなかヴッ……とくるものもあるので、下手したら凹むんじゃなかろうか。私は結構凹みました。なのでそこは要注意。なによりこの本を手に、ペンとでかい紙にひたすら「自分の今を生き、勇気を持っていくこと」について書き殴って分析する時間が必要だなとも感じています。それも定期的に。それは間違いなく途方もない作業ですが、この「嫌われる勇気」は自分と向き合う時に間違いなく良き相棒となるでしょう。