「のほほん」が愛おしい。ある姉妹の暮らしエッセイ
平和で、のどかで、時々笑ったりしんみりしたりして温かさにホッとする名著。
40代半ばの女芸人2人が
地元阿佐ヶ谷で一緒に暮らす日々(後半からはある理由で別々に暮らします)を描いたものなんですが、とにかく「びっくりするくらい平和」な内容が終始散りばめられているんです。
攻撃的なものは一切ないし、
何か一つのことを堅く強く謳うでもなく、
そこには地元愛と地元からの愛がまったりと述べられてます。優しく、渋く体に染みる緑茶のようです。あ、そういえばこのエッセイすごく食べ物の描写多いし比喩表現も食べ物が使われてた気がする。そこがほっこりするしイメージしやすくてなんというか「居心地の良さ」がある。
お互い相手のことを不思議に思ったり、2人で住む上で不便に感じるシーンもけっこう出るけど決して本人を否定するわけではないし何かあれば別のところで時間を潰すし助けることもあるしでそこは大人のたしなみだなぁーと。
あとはやはり最後の方にあるシチューの回にもハッとさせられました。ちょっとしたことから気づく大切さ、あるよね。
2人それぞれの恋愛小説もなかなか良かったです。温泉旅館(姉)、ゼリー(妹)の話それぞれ絶妙なメルヘンさと渋みとあと自然とニヤニヤしちゃう感じ。姉妹の好みがわりと違うのがメインのエッセイでわかるけど小説でもハッキリ出て面白い。
文庫本の発売も決定されたとのこと。納得です。なんというかこの本は肩肘張らずに気持ちが穏やかにさせる力がある。しんどい時改めて読むと違う世界が見るかもしれませんね。