もう悲哀はいらない

雄っぱいの揺れにご注意ください

著:わかちこ

Charles Comics                               

 

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ド直球なタイトルと表紙から筋肉ムキムキ系BLが多いのかなと思いきや、予想外&多ジャンルな萌えポイントが詰まった漫画でございました。

 

もともとこの本が気になったのはタイトルにもなっている雄っぱいBLが、筋肉をテーマにしたアンソロジーに掲載されてまして、なかなかこれはツボだなと思い単行本が出たと知ったときは買おうと誓ったのでした。

 

 

BLのスパイスに使われやすい、とある要素

BLと一口に言っても画風もキャラの描き方も多種多様でカテゴリ分けするにはとても細かい枝となってるくらいものすごいジャンルなんですよ。あそこって。その分ベタなやり方や展開ってのはあるんです。一番わかりやすいのが「ホモフォビア(同性愛嫌悪)」を用いた描写ですね。

 

ホモフォビア - Wikipedia

 

たとえば、イイ感じの雰囲気になってきた2人またはどちらかに「気持ち悪い、ありえない」と誰かが言い放ったり、言葉にせずとも2人の結びを壊そうとする展開です。

これを話の試練とか刺激とかクライマックス要素として盛り込んで、2人が最後どう結ばれていくかにつなげるための接点とするというわけです。これ案外多いんですよね。

(さらに驚くことにこのホモフォビアな言動をとるキャラは主役となる二人のどちらかが言ったりもするし、第三者となると男性・女性どちらもあったりします……)

 この本の面白いところは、メインタイトルとなっている筋肉BLではその嫌悪要素が一切ない「出会う!やる!離れる!でもなんだかんだくっつく又はやる!」系なんですが、ほかの短編はいずれも「嫌悪だけではない仄暗さ」を感じたんですよね。もっと単純に言っちゃうと「闇」とか「人の醜さ」がじんわりとにじみ出るような、なまなましさ。そこが新鮮ですごく素敵だなと感じたんですよ。そしてなによりホモフォビアを話の盛り上げ要因にしすぎていない。というのがいいなって。そして出会ってやってハッピーエンド☆甘くてキャピピ☆は筋肉BLにはありません。むしろ読んでて「ヒェッ……」てなってくらいです。これ以上語るときりがないなあ。

 

短編、どれも素敵なのですが一つ「おっ」ときたのを絞るなら「あまいめまい」「あまいとまどい」に描かれた歯医者さんとその患者のお話かなあ。患者さん側が相手に話しかけるときの体の構図がニュッと斜めっているんですがその演出が絶妙だなと思いました。

 

 

 

もう悲哀はいらない

 

最近の主流BLがどうなっているかはわかりませんが、とりあえずは

「もう悲哀が当たり前でそれを前提として盛り上げるのはよそうぜ」とは思っています。

前の方で述べた「ベタなBL」というと

 

出会う

だんだん仲良くなる

でも同性だから無理だよな(突然の悲哀)

or

ホモフォビアのシーンを出す

2人の仲はどうなっちゃうの?

乗り越えたよ!やったね!

 

な感じだったんですけど

ここ最近のを手に取ると、そもそも嫌悪がない世界のもとに描かれてるのが多くて、2人にとっての試練を描こうとするとすれ違いとかそういう恋愛モノでのベタだったりするんですよね。これとてもいい傾向だなと思います。

実のところ「また嫌悪なのが描かれたらヤだなあ」と気になるのがあってもためらっていたのですが、おもしろいアンソロジーに触れることで新たな傾向・作家と出会えることに気が付いたのでそこからまた色んなBLを見つけていきたいなと意欲がわいたり。

 

それでは今回はここまで